非ホジキンリンパ腫


  • 概念
  • 多中心性に発生し非連続性に進展する傾向が強い

  • 分類
  • B細胞リンパ腫
  • T/NK細胞リンパ腫

  • 原因
  • 染色体転座: リンパ腫型転座(遺伝子産物は分化・成熟、増殖、細胞死を制御する因子が多い)
  • ウイルス: EBウイルス,HTLV-1
  • 免疫不全: 日和見リンパ腫
  • 慢性炎症: 慢性炎症や自己免疫疾患からのリンパ腫は通常悪性度が低い。膿胸から発生するリンパ腫は予後不良。

  • 病態 -画像-
  • 低悪性度リンパ腫indolent: 小型細胞を特徴とし、年余にわたって潜在的に進行
  • 慢性白血病型: 慢性リンパ性白血病B細胞性小細胞性リンパ腫、形質細胞腫
  • 節性リンパ腫: 濾胞性リンパ腫、マントル細胞型リンパ腫
  • 節外性リンパ腫: MALTリンパ腫菌状息肉症Sezary症候群
  • 中悪性度リンパ腫aggressive: 大型細胞を増殖主体とし、浸潤性、破壊性に進行
  • びまん性大細胞リンパ腫
  • 未分化型大細胞リンパ腫
  • 末梢性Tリンパ腫
  • 高悪性度リンパ腫highly aggressive: 急性白血病型リンパ腫の病態
  • Burkittリンパ腫
  • 成人T細胞白血病/リンパ腫
  • 前駆細胞型リンパ芽球性リンパ腫

  • International Prognostic Index
  • -画像-
  • -画像-

  • 治療
  • 進行期にある低悪性度リンパ腫: 病勢のコントロールを主体としたQOLを重視した治療
  • 中悪性度リンパ腫: CHOP療法(シクロホスファミドアドリアマイシン(Doxorubicin Hydrochloride)、ビンクリスチン(Oncovin) 、プレドニゾン)
  • 高悪性度リンパ腫: 急性リンパ性白血病に準ずる

  • 予後
  • 不連続性に進展し、しばしば白血化があり、予後悪い


  • ref1,p1881;ref5
  • 050620;050703
  • B/T前駆細胞腫瘍


  • 概念
  • リンパ芽球の形態を示す
  • 細胞系列は免疫形質の確認による

  • 前駆B細胞リンパ腫
  • 急性リンパ性白血病の多くを占める
  • リンパ芽球性リンパ腫の一部を占める
  • 形態学的にはT/NK細胞性と区別できない
  • 表面免疫グロブリンやCD10は陰性
  • TdT陽性

  • 前駆T細胞腫瘍
  • T細胞性リンパ芽球性白血病/リンパ腫


  • ref45
  • 050621;050703
  • 急性リンパ性白血病

  • 診断
  • ペルオキシダーゼ反応陰性、エステラーゼ反応陰性によりM1〜M6を否定する

  • 分類
     発症年齢病理予後
    L1小児に多い 良好
    L2成人に多い やや不良
    L3  Burkitt型不良


  • 小児の予後不良因子
  • 1歳以下10歳以上
  • 白血球数2万以上
  • Burkitt型(FAB分類L3)
  • Ph1陽性
  • T細胞B細胞表面マーカー陽性
  • 中枢神経浸潤
  • 胸腺腫
  • 睾丸浸潤
  • 肝脾腫著明

  • 長期生存率
  • 小児: 90%
  • 成人: 20〜30%

  • 治療
  • 寛解導入療法: Ad VP療法(adriamkycin, vincristine, prednisolone)
  • 白血病性髄膜症の予防
  • 骨髄移植


  • ref23;ref4;ref9
  • 050914
  • 成熟B細胞性腫瘍


  • 概念
  • 非ホジキンリンパ腫の70〜80%を占める
  • 大細胞型が50%以上を占める

  • 分類
  • 慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫
  • 壮年以後
  • 単調な小型リンパ球のびまん性増殖を示す
  • CD5陽性: 他にはマントル細胞リンパ腫がある
  • わが国ではきわめてまれ
  • リンパ球性リンパ性白血病
  • 腫瘍細胞がやや大きく核小体明瞭
  • CD5陰性、表面免疫グロブリン強陽性、CD22陽性
  • 白血球増多が著明
  • 高度の脾腫
  • リンパ形質細胞性リンパ腫
  • リンパ球、形質細胞様リンパ球、形質細胞のびまん性浸潤
  • CD5,10,23陰性
  • マントル細胞リンパ腫
  • びまん性、結節状あるいは濾胞マントル帯に軽いcleaved cellの形態を示す小、中リンパ球の単調な増殖
  • CD5陽性
  • 予後は比較的不良
  • 濾胞性リンパ腫
  • 濾胞構造: 境界不明瞭、多くはマントル帯を認めない -画像-
  • 濾胞中心由来の中型の中心細胞と大型の中心芽球
  • Grade1,2,3a,3bと分け3bは高悪性度
  • 節外性辺縁帯リンパ腫
  • 胃、甲状腺、眼付属器など
  • 辺縁帯由来リンパ球として中心細胞様リンパ球、小リンパ球、形質細胞がみられる
  • MALTリンパ腫
  • びまん性大細胞リンパ腫
  • Burkittリンパ腫
  • 形質細胞腫/形質細胞骨髄腫


  • ref45;ref46;ref5
  • 050621;050703
  • 慢性リンパ性白血病

  • 概念
  • 成熟リンパ球(多くはB細胞性)が単クローン性に増殖
  • 末梢血、骨髄、リンパ節、脾臓などに腫瘍細胞が蓄積
  • リンパ節病変を主徴とするものを小リンパ球性リンパ腫という
  • わが国ではまれ
  • 中高齢者に発症

  • 病態
  • CD5陽性B細胞: 自己抗体産生に関与
  • 自己免疫性溶血性貧血の合併: 10〜30%
  • 自己免疫性血小板減少症
  • 好中球減少症
  • 免疫能低下
  • 表面IgGの発現弱い
  • 細胞内シグナル伝達に異常
  • T細胞の機能低下

  • 症状
  • 自覚症状: 半数は初診時無症状
  • 易疲労感
  • 食欲不振
  • リンパ節腫脹
  • 感染
  • 他覚症状
  • 表在リンパ節腫脹: 無痛、可動性
  • 脾腫: 約半数
  • 肝腫: 1/4〜1/3

  • 検査
  • 末梢血
  • リンパ球増多: 異形成の少ない成熟小型リンパ球 -画像-
  • 貧血
  • 血小板減少
  • 生化学
  • 免疫グロブリン低下: 診断時は1/4の症例
  • β2-MG上昇: 予後不良の徴候
  • 骨髄
  • リンパ球が30%以上

  • 病期分類 -画像-
  • Rai分類
      特徴生存期間
    病期0リンパ球増加のみ10年以上
    病期Tリンパ節腫脹8年以上
    病期U  脾腫  6年
    病期V  貧血  2年
    病期W 血小板減少 2年

  • Binet分類
      特徴生存期間
    A3個未満のリンパ節腫脹10年以上
    B3個以上のリンパ節腫脹7年
    C貧血または血小板減少2年


  • 治療
  • 病初期の低リスク群や中等度リスク群では、活動性を考慮して化学療法の開始を検討
  • フルダラビン: プリンアナログの一種



  • ref1,p1868;ref4
  • 050702;050703;050720;050914
  • びまん性大細胞リンパ腫
  • diffuse large B-cell lymphoma(DLBCL)

  • 概念
  • 成熟B細胞性腫瘍
  • わが国では成人非ホジキンリンパ腫のほぼ半数を占める ref45
  • 治療しなければ急速に致死的となる

  • 病態
  • p53遺伝子変異: 濾胞性リンパ腫からの進展例で特にみられる
  • 30%程度にt(14;18)の転座のためbcl2遺伝子に過剰発現が認められ再発率が高くなる
  • 増殖速度は速い

  • 部位
    50%以上が診断時に節外性の病変を持つ
  • リンパ網内系: リンパ節、脾臓、肝臓、骨髄
  • リンパ節外: 中枢神経系、肺、消化管、泌尿器、骨など
    -画像-

  • 治療
  • StageT,U: CHOP療法(+CD20モノクロナール抗体;リツキシマブ)3〜4サイクル+放射線でCHOP療法8サイクルと同等かそれ以上の結果が得られている


  • ref7;ref5
  • 050621;050703
  • Burkittリンパ腫

  • 概念
  • 転座が発生に必須
  • 幼弱なB細胞が腫瘍化したもの
  • EBウイルス陽性率: アフリカ型では95%、非アフリカ型では20%以下

  • 病理形態
  • 中型で円形の核、2〜3個の小さな核小体、ピロリン好性の細胞質
  • starry sky像: 腫瘍核を貪食したマクロファージの散在 -画像-

  • 診断
  • gold standard: B細胞リンパ腫でt(8;14)(q24;q32)の染色体転座(またはそのvariant)あるいはc-MYC再構成を有する

  • 治療
  • 限局した腹部病変: 切除で90〜100%の治癒
  • 急性リンパ性白血病の治療

  • 予後
  • 小児Burkittリンパ腫では90%以上の長期生存


  • ref45
  • 050621;050914

  • 多発性骨髄腫

  • 概念
  • 胚中心を通過した形質芽細胞由来の異型性をもった形質細胞が骨髄で増殖する
  • M蛋白ではIgG型が約半数を占める
  • 発症年齢は65〜70歳にピークをもつ

  • 病態
  • IL-6(増殖とアポトーシスの抑制に最も重要なサイトカイン)の受容体が存在
  • 骨髄腫細胞が接触しているストローマ細胞が破骨細胞活性化因子を分泌
  • 多くは結節性増殖を主体とする

  • 症状
  • 腰背胸部の疼痛全身倦怠感発熱骨折高Ca血症が初発症状となりえる
  • 貧血血小板減少、顆粒球減少
  • 骨病変: 腰椎、胸椎の圧迫骨折
  • M蛋白血症: 骨髄腫腎、易感染性過粘稠症候群、寒冷蕁麻疹Raynaud症状(M蛋白がクリオグロブリン活性あるとき)

  • 検査
  • 正球性正色素性貧血
  • 赤血球連鎖形成(過粘稠症候群)
  • 骨髄所見: 核が偏在し核周囲明庭を有する(正常形質細胞に類似)。大型で2核や多核の細胞もみられ核小体が目立つ。
  • 蛋白増加とアルブミン減少、M蛋白以外の正常免疫グロブリン減少
  • ZTT,TTT高値
  • CrBUN
  • 高Ca血症
  • 凝固障害←M蛋白血小板や凝固因子を被覆して機能を抑制
  • コレステロール減少←?
  • β2-MG高値←増殖性の強い細胞ほど産生
  • Bence-Jones蛋白(56℃で白色沈殿物、100℃で再融解)
  • 骨打ち抜き像

  • Durie&Salmonの病期分類
  • T期: @貧血がない、A高Ca血症がない、B骨X線で正常もしくは孤立性骨病変、CM蛋白量が少ない、をすべて満たす。
  • U期: T、Vのいずれにも属さない
  • V期: @貧血、A高Ca血症、B骨融解病変、CM蛋白量が多い、を1つ以上満たす。

  • 治療
  • T期で症状がなければ経過観察
  • メルファラン(またはシクロホスファミド)とプレドニゾロン
  • 形質細胞腫(CD20陰性)なのでリツキシマブは無効


  • ref1,p1894;ref23
  • 050703;060106
  • MGUS
  • monoclonal gammopathy of undetermined significance

  • 概念
  • 血中にM蛋白を認めるが血清の免疫グロブリンは正常で、骨髄腫やマクログロブリン血症などの基礎疾患を認めないものをいう

  • 治療
  • 必要ないが、骨髄腫やマクログロブリン血症アミロイドーシスへと移行することがあるので経過観察


  • POEMS症候群

  • 概念
  • polyneuropathy: 進行性の感覚・運動神経の多発神経炎
  • organomegaly: 2/3で肝腫大リンパ節腫脹。1/3で脾腫
  • endocrinopathy: 無月経、陰萎、女性化乳房。1/3で糖尿病
  • multiple myeloma
  • skin changes

  • サイトカイン
  • IL-1, IL-6, VEGF, and TNF: 増加
  • TGF: 減少

  • 治療
  • 骨髄腫の治療により他の症状も改善


  • ref5
  • 050527
  • クリオグロブリン血症

  • 概念
  • クリオグロブリンは、0〜4℃の低温で可逆的に凝固し乳白色の沈殿を生じる血漿蛋白

  • 原因
  • T型
  • M蛋白のみからなる
  • 多発性骨髄腫、原発性マクログロブリン血症など
  • U型
  • 単一クローンと多クローンの免疫グロブリンの結合
  • 原発性マクログロブリン血症、リンパ増殖性疾患
  • V型
  • 頻度50%
  • 多クローンの免疫グロブリンの結合
  • SLE慢性肝炎HCV)、糸球体腎炎(膜性増殖性糸球体腎炎

  • 症状
  • 皮膚症状が特徴的
  • Raynaud症状寒冷蕁麻疹、血管性紫斑←循環障害
  • 糸球体腎炎、関節痛末梢神経障害、消化管出血←免疫複合体沈着


  • ref1;ref82
  • 060113
  • マクログロブリン血症
  • Waldenstrom's macroglobulinemia

  • 概念
  • IgMを産生するB細胞(リンパ形質細胞)の腫瘍性増殖
  • リンパ節、脾臓、骨髄などで増殖する
  • 高齢男性に多い

  • 症状
  • 貧血による症状
  • 血小板減少による症状
  • 浸潤臓器による症状
  • 過粘稠症候群: 意識障害、眼底網膜静脈ソーセージ様変化、眼底出血
  • 細胞性免疫低下の症状

  • 検査
  • 病理
  • リンパ形質細胞腫
  • 赤血球連鎖形成
  • ときに末梢血中にリンパ芽球様細胞
  • 蛋白所見
  • 単クローン性IgM増加
  • 尿中BJPは10〜20%で認める

  • 治療
  • メルファラン(またはシクロホスファミド)とプレドニゾロン
  • 過粘稠症候群に対して血漿交換療法(plasmapheresis)
  • CD20抗原陽性のリンパ腫にはリツキシマブが有効な場合もある


  • ref1;ref23
  • 050703
  • H鎖病

    成熟T/NK細胞性腫瘍


  • 概念
  • NK細胞は起源がT細胞と同一とされることから同一範疇として分類される

  • 分類
  • リンパ球白血病
  • 大顆粒リンパ球白血病
  • NK細胞白血病
  • 節外性NK/T細胞リンパ腫(鼻型)
  • 菌状息肉症/Sezary症候群
  • 血管免疫芽球Tリンパ腫
  • 末梢Tリンパ腫、非特定
  • 成人T細胞白血病/リンパ腫
  • 未分化大細胞リンパ腫
  • 皮膚蜂窩織炎様Tリンパ腫
  • 腸管型Tリンパ腫
  • 肝脾γ/δTリンパ腫


  • ref45;ref1
  • 050621
  • 成人T細胞白血病
  • adult T-cell leukemia/lymphoma(ATL)

  • 概念
  • HTLV-1を原因ウイルスとする

  • 病態
  • 種々の細胞遺伝子の転写亢進作用がある蛋白Taxが発症に関与
  • TaxによるPTHrP産生増強により高Ca血症

  • 病理
  • ATL細胞:-画像-
  • 核のくびれや分葉、濃厚な核クロマチンを有するリンパ球
  • 多くは成熟ヘルパーT細胞の表面形質を示す

  • 診断基準
  • 簡便な診断基準
  • 血液学的または病理学的にリンパ系腫瘍
  • 表面抗原の検査でT細胞
  • HTLV-1抗体が陽性
  • 確定診断
  • 腫瘍細胞DNA中にHTLV-1プロウイルスDNAのモノクロナールな組込みの証明

  • 病型分類
  • くすぶり型
  • 無症状
  • 皮膚や肺病変か、末梢血に5%以上ATL細胞が出現することで診断される
  • 慢性型
  • リンパ球増殖だが無症状
  • 末梢血リンパ球4,000/mL以上
  • リンパ腫型
  • リンパ節腫脹
  • 感染症: 細胞性免疫低下
  • サイトカイン分泌: 発熱好中球増加、好酸球増多など
  • 高Ca血症: →多尿多飲、消化器症状。発症時で50%。腫瘍細胞がPTHrPを分泌
  • 急性型
  • 肝脾腫
  • 皮膚浸潤
  • 中枢神経浸潤
  • 感染症: 細胞性免疫低下
  • サイトカイン分泌: 発熱好中球増加、好酸球増多など
  • 高Ca血症: →多尿多飲、消化器症状。発症時で50%。腫瘍細胞がPTHrPを分泌

  • 検査
  • ツベルクリン反応陰性←細胞性免疫低下(→易感染性: カリニ肺炎合併)
  • 高Ca血症
  • S-IL2R高値:
  • pX遺伝子(ウイルス増殖に関与)の蛋白が発現させる
  • 病勢の指標となる

  • 治療
  • くすぶり型と慢性型
  • 経過観察
  • 予後不良例(LDH,BUN,アルブミンのいずれかが高値)では急性転化防止のため多剤併用療法
  • リンパ腫型と急性型
  • 非ホジキンリンパ腫に準ずる

  • 予後
  • リンパ系腫瘍のなかで最も予後が悪い


  • ref23,H73;ref9,p292;ref45
  • 050511;050621
  • Contents