pneumonia
概念
肺胞腔内に炎症物質が浸潤する肺胞性肺炎(狭義の肺炎)と間質性肺炎に大別される
原因別死亡率の第4位
分類
原因分類
細菌性肺炎
真菌性肺炎
ウイルス性肺炎
病理形態分類
大葉性肺炎: 肺炎球菌、クレブシエラ
気管支肺炎: 多くの肺炎
患者背景による分類
市中肺炎
院内肺炎
誤嚥肺炎
人工呼吸器関連肺炎
閉塞性肺炎: 気道の閉塞によりその末梢部にみられる肺炎で、肺扁平上皮癌や小細胞癌に併発しやすい
病態
低換気→PaCO2上昇→アシドーシス→K上昇、HCO3-上昇→Cl低下
発汗→Na低下
CO2ナルコーシス
検査
血液検査
重症の場合は病巣への好中球の動員のため末梢血白血球数は減少
胸部X線
肺胞性陰影: 境界不鮮明、進行速い、air bronchogram, air alvelogram
間質性陰影: スリガラス陰影、網状陰影、粒状陰影、血管陰影が不鮮明
病因診断
喀痰塗抹検査
胸水検査
血清診断
尿中抗原検出キット: 肺炎球菌、レジオネラ
治療
化学療法
empiric therapyが必要
β-ラクタム系は肺への移行性が低く大量に用いなければならない
一般療法
肺炎時の低O2血症のとき、痰の喀出を容易にするため輸液は必要
意識障害時には気管切開も必要
ref1;ref23
050806;050912
肺炎球菌
概念
市中肺炎の代表的起炎菌
重症化する頻度が高い
ペニシリン耐性肺炎球菌(ペニシリン結合蛋白との親和性低下が関与)の存在→カルバペネム薬
病理
充血期: 肺胞内に少量の赤血球や白血球を含む滲出液が出現
赤色肝期: 炎症細胞の浸潤が著明、含気に乏しくなり肝臓様の外観を呈する
灰白肝期: 浸出液が肺胞から細気管支領域まで充満、赤色調から白色調の外観へ移行
融解期(治癒期): 炎症細胞減少、フィブリン吸収、含気を取り戻し、肺胞は修復される
(空洞性病変はみられず、肺化膿症の合併や肺線維症への進展はみられない)
症状
上気道炎に引き続き悪寒戦慄を伴う突然の高熱で発症
やや遅れて咳嗽、痰(鉄さび色の血痰)
胸痛: 炎症が胸膜に及んだとき
診断
尿中抗原の検出: 早期診断に有用
肺炎球菌の検出
喀痰検査
検出だけでは起炎菌とはされない←口腔内常在性
膿性痰か、Gram染色で多数みられるか、好中球の貪食像があるかなどの条件が必要
喀痰培養: 106/mL以上の菌量
血液培養: 敗血症の可能性ある
治療
軽症、基礎疾患なし、若年者
経口ペニシリン系薬 : 中等度耐性であれば投与量を増やすことで治癒可能
中等症、基礎疾患あり、高齢者
経口: フルオコキノロン系薬、ペネム系薬
注射: ペニシリン系薬、セフェム系薬
重症、基礎疾患重篤
注射: カルバペネム系薬、グリコペプチド系薬
予防
肺炎球菌23価ワクチン: compromised hostに対して
ref1,p384;ref23;ref4
050810;051016;051017
治療
軽症、基礎疾患なし、若年者
経口: 第3世代セフェム系薬、ペニシリン系薬
中等症、基礎疾患あり、高齢者
経口: βラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン系薬、フルオコキノロン系薬
注射: 第3世代セフェム系薬
重症、基礎疾患重篤
注射: 第3世代セフェム系薬、カルバペネム系薬、フルオロキノロン系薬
ref4
051017
Moraxella pneumonia
ブランハメラ肺炎
治療
軽症、基礎疾患なし、若年者
経口: βラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン系薬
注射: 第1,2世代セフェム系薬
中等症、基礎疾患あり、高齢者
注射: カルバペネム系薬、テトラサイクリン系薬
重症、基礎疾患重篤
注射: グリコペプチド系薬、アルべカシン
ref4
051017
概念
重症化しやすい気管支肺炎
理学的所見に比し呼吸困難が著しい
肺膿瘍、肺気腫、膿胸が見られることも
Klebsiella pneumonia
概念
高齢者、アルコール多飲者、ペニシリン系抗生物質服用者に発症しやすい
市中肺炎としてみられるものは大酒家にみられ急激で重篤な経過をとる
院内では菌交代症としてみられやすく、誤嚥肺炎や菌血症に続発した血行性肺炎が多い
臨床症状
市中肺炎
咳を伴った突然の悪寒・戦慄、高熱で始まる
著明な胸膜痛
せん妄状態や虚脱状態
胸部X線では大葉性で空洞陰影を呈する傾向が強い
肺膿瘍や膿胸の併発が多い(⇔肺炎球菌性肺炎)
治療
クレブシエラ
ref1
051224
治療
中等症、重症、基礎疾患あり、高齢者
注射: 抗緑膿菌活性を有するペニシリン系薬、第3世代セフェム系薬、アミノ配糖体系薬、カルバペネム系薬、フルオロキノロン系薬
ref4
051017
概念
スリガラス陰影を主体とした淡い陰影を呈す
若年者はマイコプラズマ肺炎、高齢者ではクラミジア肺炎が起こりやすい
ref23,H46
050511
マイコプラズマ
概念
Mycoplasma pneumoniaeにより惹起される異型肺炎
小児、学童、若年成人を中心に多く発症する
3〜5年の周期で流行するとされる
病態
直接作用: Mycoplasma pneumoniaeが産生する過酸化水素による組織障害や細胞に対する代謝障害作用など
間接作用: 免疫反応を介した障害(合併症状にも関与)
症状
10〜14日の潜伏期
発熱
胸痛、咳嗽が強い
喀痰は多くはない
咽頭痛、鼻症状は20〜30%にみられる
合併
ギランバレー症候群、髄膜炎、脳炎
自己免疫性溶血性貧血
Stevens-Johnson症候群、多形滲出性紅斑
肝機能障害
鼓膜炎(約2割にみられ古典的には特異的とされている)
心筋炎
検査
白血球は多くは正常範囲
赤沈、CRP高値
トランスアミナーゼ上昇が30〜40%でみられる
X線所見: 多くは浸潤形で両側下肺野に好発。無気肺や胸水もありえる。
寒冷凝集素陽性
PPLO寒天培地: 日数を要する
抗原やDNAの検出、PCR
治療
マクロライド系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系が効果がある(←細胞壁をもたない)
ref23,H45;ref1
050511;060108
legionellosis, 在郷軍人病 Legionnaires' disease
概念
Gram染色で観察不可能、血液寒天培地で発育しない、ペニシリンが有効でないことより非定型肺炎(異型肺炎)に分類される
レジオネラは、人口環境中の水系、冷却塔水や給湯系、温泉水、24時間風呂などで増殖し感染源となる
細胞内寄生菌である→細胞性免疫低下で好発
疫学
市中肺炎の5〜10%を占める
ハイリスクグループ: 男性、高齢者、喫煙者、アルコール多飲者、1泊以上の旅行、循環式浴槽利用者など
症状
進展が速く重症化しやすい
比較的徐脈
胸膜炎(胸水)の合併が約半数
中枢神経症状、消化器症状、肝機能障害、低Na血症がみられることもある
検査
炎症所見
低Na血症
筋酵素上昇: CK、アルドラーゼ
KL-6
診断
迅速診断には、尿中可溶性抗原、PCR法
血性抗体価
免疫染色
通常の培地に発育しない
鍍銀染色
治療
ニューキノロン系、エリスロマイシン、リファンピシンが有効
βラクタム系やアミノグリコシド系は効果なし←細胞内寄生菌
ref9,p68;ref23,H42;ref1
050511;051203
病態
間質性肺炎: ウイルス性と鑑別
びまん性にI型細胞を侵す→拡散障害で低O2血症,痰は出ない→検査はBALF(Grocott染色で嚢子の確認)、肺生検
人工呼吸下でしばしば気胸を合併←びまん性に侵され構造が脆弱
ステロイド減量中(→リンパ球活性化による局所障害)の発症が多い
検査
X線: 両肺門を中心に両肺野にむかって広がる
血液ガス: 早期にPaO2低下
血液: β-D-glucan上昇、LDH上昇
治療
ST合剤
副作用: 骨髄抑制、皮疹、食欲低下など
ペンタミジン
副作用: 腎障害、膵炎
ref23,H197;ref4
050522;051017
続発性肺クリプトコッカス症
約8割
易感染性宿主
予後不良
原発性肺クリプトコッカス症
症状
自覚症状はほとんどない
X線
孤立性腫瘤状陰影
しばしば空洞陰影
治療
イミダゾール系、トリアゾール系(←副作用少ない)
重症の場合はアンホテリシンB
ref9,p252
050510
概念
陳旧性肺結核などの遺残空洞、膿疱、気管支拡張症などの器質的病変にアスペルギルス属が定着しfungus ball を形成する
血痰や喀血、発熱、体重減少などの症状をきたす
約90%で血清中のアスペルギルス抗体陽性
Grocott染色(メセナミン銀染色)で染まる
外科的切除、アンホテリシンB病巣気管支注入
ref1,p430;ref11
050724
概念
免疫能の低下した宿主で発症
発熱や咳嗽など細菌性肺炎と酷似した症状
アンホテリシンBの点滴静注と5-FC経口投与の併用
ref11;ref1,p431
050510;050724
aspiration pneumonia, 嚥下性肺炎
概念
水分や食物、口腔内容物、逆流した胃液などを下気道に嚥下することにより起こる肺炎
急速かつ大量の胃液を下気道へ吸引する吸引性肺炎と、高齢者や脳血管障害患者にみられやすい顕性誤嚥と不顕性誤嚥がある
背景因子
脳血管障害が多い
心疾患
悪性腫瘍
痴呆
糖尿病
-画像-
症状
症状が発現するのは誤嚥の3〜4時間後→誤嚥後半日近くは注意深い観察が必要
呼吸困難
チアノーゼ
血圧低下
ref1;ref24
051215
概念
嚥下反射や咳反射の障害により、口腔内容物が就寝中に下気道へ流入する -画像-
検査
飲水試験 -画像-
予防
食事
脳血管障害の急性期には患者に食事を取ることを禁ずる
通常、嚥下反射と咳反射は発症後2週間目ぐらいから回復する→摂食訓練を始める
食後2時間ぐらいは座位を保つようにする
抗血小板薬: 誤嚥が起る以前に脳梗塞発症を予防する
治療
抗生物質: セフェム系、嫌気性菌に対してクリンダマイシンなど
カプサイシン(トウガラシ): →P物質増加→嚥下反射、咳反射亢進
ACE阻害薬: P物質分解酵素抑制→P物質増加→嚥下反射、咳反射亢進
アマンタジン: ドーパミン増加→P物質増加→嚥下反射、咳反射亢進
ref4;ref1
051215
diffuse aspiration bronchiolitis (DAB)
概念
慢性的な微量の不顕性誤嚥が原因となる
びまん性に細気管支を中心に炎症所見が存在(びまん性汎細気管支炎と類似する)
ref1
051215