消化性潰瘍

  • peptic ulcer

  • 概念
  • 粘膜欠損が粘膜下層に達する(粘膜内にとどまるのはびらん)
  • 十二指腸潰瘍は過酸症との関わりもつが、胃潰瘍は正酸や低酸のことが多く胃防御機構の破綻によることが多い
  • H.pyloriNSAIDsが重要な成因となる

  • 疫学
  • わが国では胃潰瘍十二指腸潰瘍より多い(沖縄や欧米諸国では逆)
  • 胃潰瘍は40歳以降に多い
  • 十二指腸潰瘍は10〜20歳代に多い
  • 十二指腸潰瘍の再発率は胃潰瘍の約2倍

  • 病態
  • H.pylori: 炎症細胞浸潤が引き起こされ、それによる障害物質で胃粘膜防御機構が障害され、胃酸の障害を受けやすくなる
  • 胃潰瘍の90%前後のH.pylori陽性
  • 十二指腸潰瘍の95%前後でH.pylori陽性
  • NSAIDs: プロスタグランジン合成抑制により防御機構が障害され、潰瘍を形成しやすくなる。上腹部痛などを伴わない例が約40%あり難治性の潰瘍に移行してしまう。服用者の胃潰瘍の頻度は4倍。
  • ストレス: ストレス単独では胃炎までで胃潰瘍形成まで至らない。他の原因(H.pyloriなど)で胃粘膜が脆くなっていればストレスで潰瘍形成を引き起こす。

  • 好発部位
  • 胃潰瘍では胃角、十二指腸潰瘍では球部小弯側前壁
  • 二重規制説: 胃粘膜の性状が変わる部位の胃酸から遠い方
  • 年齢とともに口側に移動←幽門部との境界線が徐々に口側に移動←胃体部の粘膜萎縮

  • 症状
  • 特に十二指腸潰瘍では、酸が直接作用しやすい空腹時に上腹部痛がひどくなる
  • 胃潰瘍では、食後30分から1時間後の腹痛もある
  • 吐血下血
  • 胸やけ悪心嘔吐など

  • 検査
  • X線検査 -画像-
  • ニッシュ: 圧迫撮影ではっきりすることがある
  • 粘膜ひだの集中←治りかけ
  • 胃や十二指腸の変形が間接症状としてみられることもある
  • タッシュ: 十二指腸の変形
  • 内視鏡検査 -画像-
  • 活動期: 自覚症状を伴いやすい。出血や穿孔などの合併症。
  • 治癒過程期: 周りは再生上皮(赤っぽい粘膜)で囲まれてくる。
  • 瘢痕期: 白い滲出物は消失。
  • 血清ペプシノゲン
  • 正常コントロール者より高い
  • 再発・難治性の指標となる

  • 治療
  • H2遮断薬
  • 1週以内に90%以上で症状消失
  • 8週以内に80%以上の治癒率
  • PPI
  • 8週以内に90%以上の治癒率
  • 維持療法: 潰瘍治癒後にもH2遮断薬や防御因子増強薬投与
  • 1年の再発率を10〜20%に抑える
  • 継続しないと1年以内に約70%の患者が再発
  • H.pylori除菌療法
  • 維持療法よりも効果、費用の両面で有用
  • 3剤併用療法: PPIクラリスロマイシンアモキシシリン(耐性株にはメトロニダゾール)を1週間内服する
  • 耐性を得る原因として小児期のクラリスロマイシンが示唆されている


  • ref1;ref4
  • 051117
  • 胃潰瘍

    線状胃潰瘍

  • 概念
  • 小弯に直交して3cm以上の長さをもつものを線状潰瘍という
  • 高酸の傾向が強い
  • 繰り返し出現し、胃壁の引きつれ、硬化を来たし、嚢状胃を呈しやすい
  • 難治性が多い



  • 十二指腸潰瘍

    H.pylori


  • 感染経路
  • 糞口感染とされる

  • 感染率
  • 40歳以上では70%(平均では50%)
  • 胃潰瘍では90%前後
  • 十二指腸潰瘍では95%前後

  • 検出
  • 生検標本: グラム陰性のらせん状菌(ウレアーゼの産生を認める)
  • ウレアーゼ法: pH上昇←アンモニア←ウレアーゼによる尿素分解
  • 尿素呼気試験: 13Cで標識した尿素を内服し、呼気中の13C02(←ウレアーゼによる尿素分解)排泄量を検査

  • 関連
  • 消化性潰瘍
  • 萎縮性胃炎
  • 胃癌
  • MALTリンパ腫
  • 胆嚢炎

  • 除菌療法
  • 維持療法よりも効果、費用の両面で有用
  • 3剤併用療法: PPIクラリスロマイシンアモキシシリン(耐性株にはメトロニダゾール)を1週間内服する
  • 耐性を得る原因として小児期のクラリスロマイシンが示唆されている
  • 逆流性食道炎の増悪←胃粘膜の回復による酸分泌亢進


  • ref1;ref13;ref4;ref110
  • 051117;060216
  • 消化管穿孔


  • 概要
  • 胃潰瘍より十二指腸潰瘍のほうが多い←壁が薄いため
  • 十二指腸球部前壁に多い←後壁は後腹壁と接しているため穿通となる
  • ほとんど出血はない(穿通はしばしば大量出血)

  • 検査
  • 少量の腹腔内遊離ガスの証明には立位胸部撮影、立位胸部側面のほうがよい
  • 単純撮影で確認できなければCTか水溶性造影剤での透視を試みる
  • アミラーゼ血症を来たすことがある

  • 治療
  • 緊急手術
  • 穿孔部の径5mm程度なら保存的治療が可能: 胃液吸引、抗生物質H2遮断薬

  • ref23;ref13;ref101
  • 051119;051223
  • Contents