熱中症

  • heat illness

  • 概念
  • 温熱環境によって生じる疾患の総称
  • 熱射病熱疲労熱痙攣熱失神、熱テタニー、熱浮腫、汗疹などが含まれる
  • 体温上昇がなければ、相対的あるいは絶対的な循環血液量の減少とNa欠乏性脱水であることが多い
  • 熱射病熱中症の最重症型で他の熱中症との鑑別が重要となる
  • 日射病という用語は用いない


  • ref70
  • 050818

  • 熱失神

  • heat syncope

  • 概念
  • 直射日光による皮膚の血管拡張や、運動による筋血流増加のために、脳血流量が減少し発症する

  • 症状
  • めまい、ふらつき
  • 脱力
  • 発汗はあり体温は正常か低め

  • 治療
  • 涼しい場所で安静臥床
  • 水とNaClの補給


  • ref94;ref7
  • 051127
  • 熱痙攣

  • heat cramps

  • 概念
  • 発汗によるNa欠乏性脱水と筋の興奮性亢進により筋痙攣、筋肉痛をきたす

  • 症状
  • 痙攣、筋肉痛
  • 皮膚蒼白、発汗あり
  • 体温の上昇は軽度
  • まれにミオグロビン尿による急性腎不全をきたすこともある

  • 治療
  • 涼しい場所に安静臥床
  • スポーツ飲料
  • 症状が強ければ生理食塩水や乳酸リンゲル液を点滴静注する


  • ref1,p84;ref70;ref23;ref94
  • 050818;051127
  • 熱疲労

  • heat exhaustion

  • 概念
  • 発汗による脱水と末梢循環不全により、全身虚脱、頭痛嘔吐、循環不全をきたす
  • 体温調節機構は保たれているが、熱射病の前段階であり放置すれば熱射病に移行する

  • 症状
  • 全身倦怠感
  • 頭痛
  • 悪心嘔吐
  • 血圧低下、頻脈意識障害
  • 皮膚は蒼白で冷たいが、発汗はある
  • 体温は40℃以下

  • 治療
  • 熱射病


  • ref1,p84;ref70;ref23;ref94
  • 050818;051127
  • 熱射病

  • heat stroke

  • 概念
  • 熱中症の最重症型
  • 体温調節機構の破綻によって体温が危険な域まで上昇

  • 症状
  • 核心温度: 40℃以上
  • 発汗: 停止。乳幼児や高齢者に多い。
  • 中枢神経: 失調、つじつまの合わない行動、痙攣、昏睡など
  • 循環器: 初期はhyperdynamicが多く、進行するとhypodynamicを呈する
  • 呼吸器: 初期は過換気、後に肺水腫、肺うっ血
  • 肝機能: 高度の場合には肝不全にもなる
  • 腎機能: 急性腎不全が10〜30%(←脱水、ミオグロビン尿、DICなど)
  • 凝固系: DICをきたす(←凝固因子の破壊、肝での凝固因子産生低下、線溶系亢進)

  • 検査
  • 各種逸脱酵素上昇
  • 血液凝固能異常: びまん性血管内凝固により血小板減少

  • 鑑別
  • その他の熱中症: 核心温度は40℃以下、意識障害や神経学的異常や組織・臓器障害がない
  • 中枢神経疾患: 脳血管障害感染症
  • 全身性感染症: 敗血症など
  • 内分泌疾患: 甲状腺クリーゼ褐色細胞腫
  • 中毒: アスピリン覚醒剤抗コリン薬
  • その他: 悪性高熱症悪性症候群アルコール離脱症候群てんかん重積状態、高度の脱水

  • 治療
  • 物理的冷却
  • 微温湯または室温水をかけ扇風機で冷却させて気化熱を奪う
  • 氷嚢を皮膚に押し当てる方法は、皮膚の血管収縮により熱の放散を妨げ、シバリングを招くので勧められない
  • 補助的な冷却の手段:
  • 膀胱への冷水潅流
  • 胃への冷水潅流: 「大量」注入は嘔吐・誤嚥を招くので禁忌
  • 核心温度39℃で中止する
  • 呼吸管理
  • 輸液
  • 血漿浸透圧330mOsm/以上(水分喪失型脱水): 1/2生理食塩水
  • 血漿浸透圧330mOsm/以下(塩分喪失型脱水): 生理食塩水、利尿があれば乳酸リンゲル液も可
  • 痙攣やシバリングにはジアゼパム
  • 体温正常化後
  • 小脳、肝、腎、血液凝固系などの広範な障害に対しての治療


  • ref70;ref23;ref94
  • 050818;051127
  • Contents