中耳

中耳炎

急性中耳炎
  • acute otitis media; OMA

  • 概念
  • 耳管経由で中耳腔に生じた細菌感染症
  • 鼓膜穿孔があれば鼓膜経由での発症もあり得る
  • 肺炎球菌が約50%、インフルエンザ桿菌が約40%を占める
  • 1〜3歳の幼児に好発

  • 症状
  • 感冒症状が先行
  • 耳痛: 耳介を引っ張っても強くならない
  • 耳漏: 耳痛は軽減する
  • 耳閉側感
  • 伝音難聴
  • 内耳障害の症状: ほとんどが成人に起こる

  • 局所所見
  • 発赤、膨張 -画像-
  • 穿孔

  • 治療
  • 抗生物質
  • 鼓膜切開: 排膿により耳痛は軽快し治癒が促進される


  • ref19;ref4
  • 050730
  • 滲出性中耳炎
  • otitis media with effusion

  • 概念
  • 中耳腔に浸出液が貯留した状態
  • 小児では両側性が多い

  • 疫学
  • 5〜6歳に好発(8歳以降で激減)
  • 若年小児の難聴の原因として最多

  • 病態
  • 細菌感染を契機して免疫応答が起こり、サイトカインにより粘膜上皮細胞の肥厚と分泌細胞の分化が誘導され、滲出液の貯留を促す

  • 影響因子
  • 鼻・副鼻腔
  • アデノイド増殖症: 中耳腔に進入する細菌の足場を提供
  • 上咽頭癌: 耳管の排泄機能が障害され、細菌が中耳腔に残りやすい
  • 耳管開放症: 鼻すすりにより耳管がロックされる(floppy tube)

  • 症状、検査
  • 伝音難聴
  • 自声強聴
  • 耳閉側感
  • 鼓膜所見: 内陥-画像-、ツチ骨短突起突出-画像-、光錐消失、滲出線
  • ティンパノメトリー: B型またはC型
  • 乳頭蜂巣発育抑制

  • 治療
  • 耳管通気法: 上咽頭癌悪性リンパ腫では播種を促すので禁忌
  • 鼓膜切開・鼓膜チューブ留置術 -画像--画像-
  • 薬物療法: 消炎酵素薬、マクロライド系抗生物質の少量長期持続投与

  • 後遺症・続発症
  • コレステリン肉芽腫
  • 癒着性中耳炎
  • 真珠腫性中耳炎


  • ref4;ref19
  • 050730;051113

  • 慢性中耳炎

  • 概念
  • 急性中耳炎で排膿が不十分であったために慢性の化膿巣が残存した病態
  • 細菌の薬剤耐性(肺炎球菌黄色ブドウ球菌緑膿菌)、易感染性が原因となる

  • 症状、検査
  • 耳漏 -画像-
  • 伝音難聴
  • X線(Sonnenkalb法、Schuller法 -画像-)、側頭骨CT: 乳突蜂巣の発育抑制(含気化不良)

  • 治療
  • 鼓室形成術


  • ref19;ref24
  • 051113
  • 真珠腫性中耳炎
  • cholesteatoma

  • 概念
  • 鼓膜の弛緩部が中耳腔の陰圧により内陥し、鼓膜由来の上皮細胞が中耳腔に侵入し無秩序に増殖することで真珠腫ができる -画像-
  • 上鼓室、乳突洞に拡大し骨破壊と細菌感染をきたし、さまざまな症状を呈する

  • 症状
  • 耳小骨の破壊: 伝音難聴、耳漏、悪臭
  • 骨迷路の破壊: 感音難聴、末梢前庭性めまい
  • Tulio現象: 巨大音を聞かせるとめまい
  • 瘻孔現象: 外耳道を加圧、または減圧したときにめまい
  • 顔面神経管の破壊: 顔面神経麻痺
  • 側頭骨の破壊: 急性乳様突起炎錐体尖炎
  • 耳性頭蓋内合併症: 静脈洞血栓、硬膜外膿瘍、髄膜炎脳膿瘍

  • 側頭骨CT
  • 骨破壊像
  • 耳小骨の欠損
  • 内耳の瘻孔

  • 治療
  • 外耳道後壁を残した鼓室形成術(closed法): 遺残による再発がある
  • 外耳道後壁を削ぎ落とし真珠腫を摘出する鼓室形成術(open法): 乳突洞の粘膜が乾燥し耳垢が堆積しやすく細菌感染を誘発しやすい
  • 中耳伝音系の再建が無意味になった高度進行例には中耳根治術: 聴力は犠牲になる


  • ref19;ref4
  • 051113
  • 癒着性中耳炎
  • adhesive otitis media

  • 概念
  • 難治性の滲出性中耳炎の後遺症で、鼓膜が中耳腔の内側壁と癒着した病態
  • 治療は困難


  • ref19
  • 051113
  • 急性乳様突起炎

    錐体尖炎

    耳管開放症

    コレステリン肉芽腫

  • cholesterol granuloma

  • 概念
  • 漏出した血漿成分をもとにコレステリン結晶が形成され、これに異物反応が起こり肉芽腫が形成されると考えられている
  • 10歳以降の年長児に多い
  • 多くは片側性
  • 難治性

  • 症状、検査
  • 耳閉塞感
  • 伝音難聴
  • 鼓膜内陥、暗青色 -画像-
  • ティンパノグラフィー: B型

  • 治療
  • 鼓膜チューブ留置術
  • 乳様突起削開術


  • ref19
  • 051114
  • 耳硬化症

  • otosclerosis

  • 概念
  • 骨組織の破壊と新生を伴う海綿状骨の増殖によりアブミ骨の可動性が失われ、伝音連鎖の機能が障害され伝音難聴が起こる
  • 病変が蝸牛に向かうと感音難聴をきたす(蝸牛性耳硬化症

  • 疫学
  • 白人に多い(常染色体優性遺伝形式): 臨床的耳硬化症は白人の5〜10%
  • 日本人では少ない
  • 女性に多い: 妊娠で難聴が増悪

  • 症状、検査
  • 両側性難聴: 自覚年齢は30歳代が多い
  • 低音性の耳鳴と耳閉感を伴うことも多い
  • Willis錯聴: 静かなところよりも騒音下の会話理解が良い
  • Schwartze徴候: 進んだ病変が透けてみえ鼓膜の中央が赤くなる(まれ)
  • Carhart notch: 2,000Hzの骨導閾値の上昇
  • Stiffiness curve: 低音部の障害が大きい
  • ティンパノメトリー: A型もしくはAs型
  • アブミ骨筋反射陰性

  • 鑑別
  • 先天性耳小骨奇形: 生下時からの非進行性難聴
  • van der Hoeve症候群(骨形成不全症): 青色強膜、多発骨折、伝音難聴の合併

  • 治療
  • アブミ骨小開窓術
  • 合併症: 外リンパ漏、内耳障害、顔面神経損傷、鼓索神経損傷


  • ref19;ref92;ref4
  • 051113
  • 補聴器

  • hearing aid

  • 概念
  • 内耳に入る音の機械的エネルギーを大きくすることで中耳伝音系を補強する(⇔人口内耳

  • 適応
  • 両側性の伝音難聴が良い適応: 耳硬化症、両側性先天性外耳道閉鎖症、耳漏のない両側性慢性中耳炎など
  • 両側性の感音難聴はケースバイケース
  • 聾は適応なし


  • ref19
  • 060108
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